京都で活躍する西欧の茶人が海外とのかけ橋に! ドイツ国籍の茶人である沢田羽照氏(京都市)は、インバウンドに日本文化を発信したい事業者に外国語翻訳、グラフィックデザイン、マーケティングをはじめとしたサポートサービスを2021年8月1日から開始した。
新型コロナウイルスが猛威を振るい、一昨年から現在まで多くのサービス業が大打撃を受けてきた。京都市内で京町家の宿泊施設と茶道体験事業を運営しているドイツ国籍の茶人、沢田羽照(サワダウテ)氏もその1人だ。
沢田氏は、合同会社ふくろうの社内起業の一環として、2018年から京都市内で町家をフルリフォームした宿泊施設を運営し、2019年からは茶道が体験できるインバウンド向け事業を清水寺エリアにて行ってきた。次第に事業が軌道に乗り始め、外国人観光客からの予約も頻繁に入り始めたという頃に、国内でコロナが発生した。翌年1月はまだ反響があったものの、花見シーズンの頃になると町から観光客は姿を消していた。
「このままでは事業を継続することはできない」という決断に至り、SNSを活用した事業展開に踏み込むことにした。旅行業の復活を信じ続け、コロナ収束に向けてもインターネット上で情報発信に努めた結果、幸いなことに「茶道体験をしたい」という連絡が再び入るようになった。一方、SNSでの活動を通して、日本文化を海外へ発信したいという方が多いにもかかわらず、その本質まで伝えきれている事業者が少ないことに気がついた。
元々和の文化への愛着がきっかけに日本へ移住した沢田氏は、その魅力をより多くの方に伝えられるような仕事がしたいと思って創業したこともあり、日本文化の発信をサポートする事業を考え始めた。
「日本文化を世界に広めようとしている日本人の方が、本当に伝えたい内容を正確に分かりやすく伝えられるように手助けしたい」と強く思うようになり、現在ではインバウンド向け発信の相談や指導、販促ツールの制作、また外国語翻訳など、幅広いサポートを行っている。
【煎茶道黄檗売茶流について】
禅宗の1つである黄檗宗の総本山・黄檗山萬福寺の茶礼から発展した茶道であり、日本人の「美意識」を大切にした作法と「お手前」を稽古している。国際交流や文化交流などの目的をもった茶会を主催するかたわら、神社仏閣への献茶式なども取り行っている。
【茶人としての活動について】
沢田氏の茶人としての活動内容は、自社の福祉施設における茶会の主催をはじめ、京町家を活用した宿泊施設の運営と施設内体験サービスの提供、観光客向けの茶道体験、煎茶道教室、文化発信事業など数多くの事業に及んでいる。
ドイツで生まれ育った沢田氏は、幼少の頃から日本文化に関心を持っており、日本人の思想や禅への繋がりなどを知るにつれて、ますます興味が深くなっていった。大学卒業後に日本に移住してからは縁があって黄檗売茶流の作法を学ぶこととなり、今に至るまで様々な活動を行ってきた。また、茶道の稽古だけでは得られない茶の香味などに関する知識も身につけ、より俯瞰的な説明ができるよう「日本茶インストラクター」の資格も秋口に取得予定だ。
さらに、現在の活動に加えて、「日本文化を発信したい方の手助けになりたい」とも考えている。日本の文化は素晴らしい文化であると同時に、独自性が強く、外国語で言葉にしようとしても、本来の意味を伝えることが非常に難しいものでもある。その為、簡易化した解説をしたり、話を曖昧なまま進めたり、正確な意味合いを表し切れない説明でとどまってしまう方に遭遇することが多いそうだ。
日本文化を世界に発信し、その本来の魅力を多くの方に知っていただけるよう、これからも様々な活動を行いたいと意気込みを語ってくれた。世界中にワクチンが出回り始めた中、新型コロナウイルスの収束に向けて現在の外国語対応をより一層レベルアップさせたい方や、これから海外への文化発信に取り組みたい方などを対象に、2021年8月1日~8月末まで、文化発信の相談と一部のサービスの依頼を無料で承っている。