福岡県宗像市の神守る島「大島」にアーティストの井口真理子さんが移住。移住後最初の作品として島内のコミュニティスペース「umiba」の壁画が完成。 地域循環経済の実証実験で注目を集める離島へ移住してのアーティスト・イン・レジデンス

全国の地域振興を支援し地域循環経済の確立を目指すローカルツーリズム株式会社(代表取締役 糀屋総一朗)が、アートファンドΩ事業の一貫として支援しているアーティストの井口真理子さん。その井口さんがこの度、当社が地域循環経済の実証実験を行っている福岡県宗像市の離島である大島へ移住しました。

この度、移住後の最初の作品として、大島の旧行政センター跡地をリノベーションし当社が運営しているシェアレンタルスペース「umiba 」の壁画「PRISM」が完成し公開されました。

「umiba」はミーティングや会議、ワークショップやシェアキッチンの利用もできるコミュニティ空間としてオープンしました。この壁画には「島内外の人々の交流や、化学反応から生まれる新たな光が、大島を照らしますように」という井口真理子さん本人の想いが込められています。

また今回の壁画のメイキングも含め、移住の過程に関しては当社が地域のキーパーソンや魅力的な土地・施設への取材を通して、これからの地域のあり方をテーマに運営しているメディア「ローカルツーリズムマガジン」にて連載形式にて順次公開していきます。

〜クリエイティブな神様に導かれて〜京都育ちの画家が、大島に拠点を移すまで。

京都に生まれ育ち、芸術を志す

私は、くるりの「京都の大学生」という曲に出てきそうな、「ザ・ゆる京都」な街、左京区に生まれ育ちました。子どもの頃から寺社巡りが趣味で、時空を超えた人間交流みたいな体験が大好きでした。死後の世界への興味、手塚治虫の漫画「ブッダ」に心を救われるなど、子どもながらに人生について思案する機会が多く、それは京都という古今ドラマ渦巻く街の空気を吸って、人間とは何かという問いに成長していきました。

その問いはアーティストになってからも継続し、2014年にはサピエンスの未来をテーマにした「NEW PEOPLE」というシリーズが生まれました。物心ついた頃から、絵を描くなど「表現すること」が好きだと自覚し、そのまま描き続け、中学生の時には芸術に人生を捧げることに決めました。京都市立銅駝美術工芸高校、京都市立芸術大学と美術一筋に歩み、卒業後はアルバイトをしながら、シェアスタジオを借りて制作してきました。そこからの20代は紆余曲折の連続でしたが、人生における大切な出会いに恵まれ、そうした「人とのご縁」に支えられ、生かされて今に至ります。そのご縁が鮮やかに浮かび上がった結果、生まれたアクションが今回の大島の移住です。

大島との出会い

昨年、大好きな親友の婚礼祭のため、「神守る島・大島」を初めて知り、訪れました。そこでは信じられないくらい美しい水平線や、穏やかな島の雰囲気、婚礼に集った色彩豊かな人々・・など輝かしい生のエナジーが満ちていて、素晴らしい時間を過ごしました。なんというかその1日が、豊かな人生の象徴のように感じられたのです。自分にとって豊かな人生とは何か・・当時、会社員とアーティストの二足の草鞋を履いていた私は、「意識と情熱を創作活動にフルに捧げたい、それが答えだ」とその時、鮮明に思い抱いたのでした。それがまさか1年後、大島で叶うことになるとは、その時は想像もつきませんでしたが(笑)今回の移住を斡旋してくださった、ローカルツーリズム社代表の糀屋さんが先述の新郎様であったことも、なんとも不思議なご縁です。思えば、婚礼用にオリジナルTシャツを発注してくださったのが、最初の大島でのお仕事でした。

善い流れを感じたら、その波に身を任せる

初めて大島を訪れた後も、仕事の関係で福岡には何度も訪れました。昨年秋には個展も開催し、アーティストとして福岡との接点が少しずつ芽生えていきました。糀屋さんと親友の拠点がある天神に幾度となく遊びに行き、サピエンスの未来について、NEW PEOPLEについて、オメガ財団構想など、アート談義に花を咲かせることも。ある時、糀屋さんが「大島でアトリエを作る」というお話をされ、私は即座に興味を抱き、「そこで制作やってみたいです」と。そして大島へアトリエ兼住居となる物件を見学にいくことになりました。すると何やら「ここに住む」という未来がすーっと見えて、「住みます」と。そこから糀屋さんとの大島での協働プロジェクトが計画されたり、アートファンドによる持続的創作活動支援の構想をお聞きしたりしました。あの内見時のフィーリングはまさに「降りてきた」感じで、「善い流れを感じる、この波に乗ってみたい、ここで作品を生み出したい」と思いました。自分の意思というより、天の意思に対して「かしこまりました、ぜひお願いします」という感じでした。

移住を決めた後で気づいたことなのですが、日頃よく京都御苑を散歩していたそのコースに神社があって、それがなんと「宗像神社」だったんです。大島の神様は宗像大社にお祀りされています。つまり、毎日大島の神様がおそばにおられた、ということです。言わずもがな、お導きを感じました。しかも、大島の神様は「芸能や産業の神様」。とってもクリエイティブなんです。

ほどよい異分子でありたい

「大島移住」というと、島民になるの?とよく尋ねられます。自分の答えとしては、半分イエス、半分ノーかなと。なぜなら、自分はあえて「ほどよい異分子」でありたいと思うからです。ネットのある記事で「創造的なイノベーションは、余白+異分子+計画的偶然から生まれる」と読んだことがあり、とても共感しました。糀屋さんが大島でやろうとされていること、地域創生というイノベーションにとって、私はある意味「外の目」を持った人間、という役割かなと思っています。外の目を通して、新鮮な視点でご提案できることがあれば、何か面白いことが島の人たちと一緒にできるんじゃないかなと考えています。その鮮度を保つためには、常に島にいるよりも、時々京都に帰ってみたり、あるいはパートナーの故郷のアメリカに行ったり、多拠点で活動できると、ほどよいかもしれないな、と。

大島でやりたいこと

まずは島を知る。島の人々と交流する。島の呼吸に馴染む。そこからのインスピレーションを生かして、絵画を基盤に作品制作をしつつ、島グッズの制作などもしてみたいです。山に囲まれた盆地=京都から、海に囲まれた陸地=大島、という反転した自然環境に移動することや、異なるカルチャーに身を投じることで、作品にもどんな変化があるか楽しみです。今回、活動支援としてアトリエをご用意いただけることになり、「MUI」と名付けました(「Mariko-Universe-Iguchi=MUI)今後、絵画作品やデザインワークなどをそこで展開していきます。

それ以外ではシルクスクリーンTシャツの制作も予定していて、大島でも販売できたらなと。他方、島の方々とのコラボレーションも進めていきます。例えば島の皆様に絵画教室を開いて、受講料の代わりに地場食材をいただく、というような交換経済的な実験も行ってみたいなと考えています。ただし、あまり予定を詰め込みすぎると、偶発的なアクションを起こしにくくなるので、適度な余白を作ることも大切にしたいなと。そのあたりのバランスは実際に住みながら、楽しみながら味わいながら、徐々に掴んでいきたいですね。

井口真理子 プロフィール

1990年京都市生まれ。昔-今-未来を通した人間交流の視点で、人間とは何かという問いを焦点に、近年はサピエンスの未来を描いた絵画シリーズ「NEWPEOPLE」を制作。2013年、京都市立芸術大学を卒業後、市内のアトリエを拠点に活動。2022年、福岡県宗像市大島に移住。直近の主な展覧会に、個展/「OH!! HUMMY!!」(2022年 福岡)、個展/「PLAYLAND」(2021年 福岡)、個展/「ONGOING」 (2020年 京都)のほか、グループ展/「パラレール」(2020年 京都)、滞在制作/「TOKYO QUEST」 (2021年 東京)など。

作品ウェブサイト
https://marikoiguchi.com/

個人note
https://note.com/mui_oshima

Instagram
https://www.instagram.com/marihummy/

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