【広島市現代美術館】フィンランド スピリット サウナ ー建築、デザインからサウナハットまで

2000年以上前のフィンランドで生まれたとされるサウナ。フィンランドではサウナに宿る精をもてなすとその家庭に繁栄がもたらされるという古くからの民話がいまも生き、家庭や公共施設にはサウナが備わっています。人びとはそこで心身をリラックスさせ、互いにコミュニケーションを取るのです。

本展では、フィンランドの暮らしにふかく根づいたサウナの歴史や文化を多角的にひも解き、ゆたかな暮らしのひみつを探ってみます。

 

※会場では、アルヴァ・アアルトが手掛けた《ムーラッツァロの実験住宅》サウナ小屋を実寸模型で再現します。

 

開催概要

展覧会名 フィンランド スピリット サウナ ー建築、デザインからサウナハットまで
会期 2026/3/14㊏ – 6/28㊐
開館時間 10:00 – 17:00(入場は閉館の30 分前まで)
会場 広島市現代美術館 展示室 B-2、B-3
休館日 月曜日(ただし5/4は開館)、5/7㊍
観覧料 一般1,100円 (850円)、大学生800円 (600円)、高校生・65歳以上550円 (400円)、中学生以下無料
※( )内は前売り及び30名以上の団体料金
※本展チケットで同時開催中のコレクション展もご覧いただけます
※原爆障害者章、身体障害者手帳ほかをお持ちの方と、その介添者は無料

 

[ 前売券取扱] ※販売は3/13㊎まで

広島市現代美術館受付、オンラインショップ「339」

主催 広島市現代美術館
特別協力 アルヴァ・アアルト財団、公益財団法人ギャラリーエークワッド
後援 フィンランド大使館、フィンランドセンター、広島県、広島市教育委員会、

中国新聞社、朝日新聞広島総局、毎日新聞広島支局、読売新聞社広島総局、

中国放送、テレビ新広島、広島テレビ、 広島ホームテレビ、

広島エフエム放送、尾道エフエム放送

協力 アルヴァ・アアルト財団、公益財団法人ギャラリーエークワッド
協賛 DNP大日本印刷
企画協力 S2

 

作品点数| 図面や実寸模型、サウナアイテムなど 約200点

 


展覧会のポイント

アルヴァ・アアルトが設計したサウナ6作品を紹介

・幻の文化サウナ(ユヴァスキュラ、1925)[実現せず]

・働く人を癒やす、サナトリウムのサウナ(バイミオ、1932)

・母屋と渡り廊下でつながる、マイレア邸のサウナ(ノールマルック、1938)

・川の傍に建つ、ヨキサウナ(カウットゥア、1944–46)

・ムーラッツァロの実験住宅、コエタロのサウナ(ユヴァスキュラ、1952–54)

・暖炉のある部屋のついた、コッコネン邸のサウナ(ヤンヴェンバー、1967–69)

※コエタロは実寸模型で再現

ムーラッツァロの実験住宅(コエタロ)でサウナを楽しむアルヴァ・アアルト、1960年代、Photo: Heikki Havas

◯フィンランドサウナのいまとむかしを体感

いつでも無料でご覧いただけるオープン・プログラム「フィンランドサウナのいまむかし」を同時開催。空間スケールを体感できる70年代のサウナと現代のサウナを部分再現! 映像資料による小展示と関連書籍の閲覧コーナーも設けます。瀬戸内海にうかぶ、江田島にあるフィンランド式サウナ「NOT BUSY」セレクトによる書籍と県内のサウナ情報も。

 


展示構成

第1章 サウナの本質

フィンランドでは、ほぼすべての家庭にサウナが備わっており、その数は推計320万。人口およそ560万人の国民の59%は、週に1回以上はサウナに入るそうです。そもそも「SAUNA」はフィンランド語であり、千年以上にわたって受け継がれてきたフィンランドのサウナ文化は、2020年にはユネスコ無形文化遺産に登録されました。単なる習慣ではなく、人々の暮らしと分かちがたい「文化」であり、「世界一幸せな国」の健やかさや心の豊かさを間違いなく支えるものなのです。

第2章 サウナの歴史

サウナの起源の詳細は明らかではないものの、蒸し風呂での発汗浴は紀元前の時代から世界各地で行われており、フィンランドでは斜面に掘った横穴が使われたと言われています。「木造の小屋の中で火を焚く」という現代のサウナに近いスタイルが成立したとされるのは、西暦600〜900年。北欧地域、バルト諸国、ロシアなどでサウナはつくられ、ヴァイキングが世界各地に伝えたという説もあります。中でも、サウナが生活の一部として深く根づいたのがフィンランドでした。

第3章 サウナと美術

画家のマルッタ・ヴェンデリン(Martta Wendelin 1893—1986)の作品を中心に紹介します。1937年、ヴェンデリンはトゥースラ湖畔の芸術コミュニティに加わりました。ヘルシンキで気管支炎に悩まされ、医師の勧めで移り住んだトゥースラには、かつて師事した画家エーロ・ヤルネフェルトも暮らしており、彼女にとってなじみ深い場所でした。ヴェンデリンは、複数の出版社で書籍や雑誌の挿画を手掛けました。特に家庭雑誌『コティリエシ(Kotiliesi)』の表紙絵で広く知られ、さまざまな絵葉書も多数制作しています。

第4章 サウナと建築

アルヴァ・アアルト(Alvar Aalto 1898—1976)はフィンランドを代表する建築家・デザイナーのひとりです。1923年に自身の建築設計事務所を設立し、最初のパートナーであったアイノ・アアルト(Aino Aalto 1894—1949)、二番目のパートナーとなったエリッサ・アアルト(Elissa Aalto 1922—94)と協働して、300を超える建築プロジェクトを実現しました。

アルヴァ・アアルトが、彼の事務所で手掛けたサウナは、独立したサウナが29棟(うち23棟が実現)、住宅内のサウナが48室(うち38室が実現)にのぼります。この章では、アルヴァ・アアルトの建築に設けられたサウナを紹介します。

第5章 サウナとデザイン

フィンランドの人々にとって、サウナは単なる入浴施設ではありません。サウナは四季を通じてフィンランドの風景に溶け込んでいます。熱せられた石に水をかける瞬間の「ロウリュ」の音、立ち上る蒸気、そして木の香りが織りなす至福のひととき。

その時間を演出するのが、デザインされたさまざまな道具です。美しく手入れされた白樺のヴィヒタ、伝統的な木製の桶やひしゃく、そして代々受け継がれてきたサウナストーブ。ほかにもマグカップや温度計、サウナハットにいたるまで、約130点を展示します。

ヴィヒタによるウィスキング ©️Katja Lösönen / Kalevala Women’s Association, Finland
森の中で携帯型のテント風サウナでくつろぐ人々、2011、 Photo: Alexander Lembke