『VTuberとしての私たちは、今ここで「生きて」います』 学術系VTuberユニット「Holographic」、 VTuber当事者としてデジタル国際会議に招聘 日本のアバターライフを海外で発表
株式会社リ・インベンション(東京都港区)所属の学術系VTuberユニット「Holographic」*は、2020年6月27日(土)・28日(日)、ベルリン自由大学のEMTECH研究グループとケ・ブランリ美術館高等教育研究部が主催する第2回デジタル国際会議**に招聘され登壇しました。今回のテーマは、「Desired Identities:New Technology-based Metamorphosis in Japan」(望まれたアイデンティティ – 日本での新しい技術による変身)。文化人類学研究者やxR研究者などが、新しいテクノロジーによる「変身」は人々のアイデンティティにどのような影響を及ぼしたのかを議論しました。VTuberとして学会で発表したことは異例の出来事です。
Holographicの講演では、企業・個人のVTuberやVR SNSユーザ等合計17名の生き様を追ったドキュメンタリービデオを上映し、日本におけるアバターコミュニケーションの実態を発表しました。
2年にわたって行った500人以上のアンケートと28件のインタビュー調査、臨床心理士と行った分析等を紹介しました。アイデンティティを自由にデザインできるというアバターの特性から生まれる「アイデンティティの連続性」「他者承認」「ジェンダー」の3つの課題を定義し、「アバターを纏うことで、性別の規範から逃れて自由に感情表現や行動ができるようになる」ひとつの可能性を提示していました。
取材を通じて多くの人達が語った「今ここでアバターとしての私は幸せに生きているよ」というメッセージと共に、キャラクター文化に興味を持つ海外の人々に対して、「バーチャル空間でアバターとして“生きる”」という新たな価値観を伝えました。
視聴した人達からは、「とても心を揺さぶられました。」「ビデオの中でたくさんの人々が生き生きと過ごしている姿やメッセージを観ることで、とても暖かい気持ちになりました。」「改めて私自身がvirtual beingとして生きていることの意味を再確認することができました。」などの反響がありました。一方、心情として理解することは難しいという声もあり、海外でのアバターライフへの理解は途上にあるとも感じられました。
Holographicは、日本で増えてきている「アバターとしてうまれた存在を現実でも同じに認められたい」という葛藤は、アバター社会を実現する際に軽視できない要素と指摘しています。みんながバーチャル空間で気持ちよく過ごすためのコミュニケーションデザインとは何かを今後も考えて活動していきたいと語りました。
このデジタル国際会議は、ケ・ブランリ美術館のYouTubeチャンネルで公開されました。
Digital International Conference organized as a Live Streaming Event, on the YouTube channel of musee du quai Branly – Jacques Chirac, by the ERC-Funded Research Project“Emotional Machines: The Technological Transformation of Intimacy in Japan” (EMTECH) in cooperation with the Department of Research and Higher Education of the musee du quai Branly – Jacques Chirac
公式URL:
https://www.geschkult.fu-berlin.de/en/e/emtech/events/emtech-conference-2020.html